
バックナンバー
2006/5/3(水) Step4: KGW
Yのチーム探しの次なる一手は、
この地域で1年前から活動を始めた女子チームKGW。
SFSの他にもこの地域には強豪女子クラブ・チームがもうひとつ
あるにはあるのだが、
そちらも強すぎてしまって
Yのような中途半端なサッカー少女にはご縁がない。
当然Yばかりではない、多くのU-12サッカー少女は
この地域にいる限り、突然サッカー進路を閉ざされてしまう。
・・・・という現状を打開するべく立ち上がったのがKGW。
トップ・レベルではないかもしれないが
地元で女子サッカーを続けられる環境を確保しよう、というのが
基本姿勢だ。
ウチから少し離れたところに本拠地があり、
自転車で20-30分のグランドで週3回コンスタントに練習をやっている。
通おうと思えば通えない距離ではない。
自分のママさんサッカーでお知り合いになって久しい人達が
企画運営に携わっている。
そんなご縁で、昨年春の立ち上げ以来
週1回の頻度でY(とおついででKも)が練習生として
参加してきた。
1年の準備期間を経て、この春からは都女子4部リーグにも
参入することになっているという。
・・・・ならば、素直にKGWに正式に加入して
週3回、そこでサッカーをやればいい。
・・・・と思うハズだった。
それが、1年つきあってきて
そうとも言えない事情が見えてきてしまったのだ。
一言で言わせてもらうと、
練習が「ぬるい」のだ。
これは、難しい問題だ。
U-15、もしくはO-11と言うべきかもしれないが
多少の無理を強いて体を鍛えても大丈夫な時期の女の子たちを
集めるのに必要な何かがKGWには不足している。
練習が厳しいと逃げられる?
そうかもしれない。
が、ぬるいがために寄りつかなくなっていった子たちの
いかに多いことか!
多少キツくてもモノともしないようなやる気のあるスポーツ少女達は
まず学校の部活に流れていく。
部活で毎日のように活動しながらKGWの週3回の練習に来るのは
多くの場合、時間的×体力的にムリだ。
そんな理由で足が遠のいた子たちは多い。
指導者がいないわけではない。
特に中学校の先生をやっているようなコーチが来てくれる時の練習は
そんなにゆるゆるでもない。
が、彼は毎回は来ない。
学校の先生だから、常時来ることはできないのだ。
すると、小学校でサッカーのコーチをやっている皆さんが面倒を見てくれる。
が、小学生同様の内容では、中高生には物足りない。
「ぬるい」ということになる。
ハッキリ言って、中高生を仕切るだけの力量のある指導者が
付きっきりで面倒を見てくれるような環境ではない。
そうこうするうちに、
中高生の女子だけでは練習にならないほど集まらなくなった。
が、来ている子たちがいないわけでもなく
彼女たちが何もできないのではつまらないので、
地域の大人達、パパさんコーチやらママさんプレーヤーやら
酔狂な大学生なんかがお相手をしてくれる。
人数的には大人の方が多くなってしまう日のほうが多いくらいだ。
ある意味、その中で大人にもまれる部分もある。
が、U-15サッカーとしては渋すぎる。
地域の老若男女が交じってボールを蹴る、という図は
本来愛すべきものだと思っていた。
その気持ちには今も変わりはない。
だが、多少の無理を強いてでも体を強くするべき年代の彼女たち、
身体能力的に伸び盛りの彼女たちに
そういう枯れた選択肢しかない、というのは
ちょっとウラ悲しいものがある。
別に上を目指せ、というようなコトは思わないが
中学生の女子サッカーとして
もう少しどうにかならないものだろうか。
どうせやっているのが知り合いばかりなのだから、
自分が出しゃばって、出て行って
問題を解決する努力を一緒にすればいいのかもしれない。
・・・・が、同じ地域内(区内)とはいえ
自転車で20-30分では、自分の活動エリアとは言えない。
どうしても「ちょっとお客さん」な気分が拭いきれず
そこまで踏み込めずにいる。
さて、どうしたものだろうか・・・・。
ところで、
将来KGWに入ることを心に決めているらしいのが一人いる。
中学校の部活でブラスバンドに入ろうと考えているKだ。
部活は楽器、週に数回はKGWでぬるくサッカー、というバランスが
自分にはちょうどいい、と思っているらしいのだ。
Yなんて、中学校の部活さえどうするかまだ不確定だというのに
Kだけは2年後の活動方針を決めきっている。
安心して、区立S中にご入学だ(笑)。
Yたちはまだサッカー進路が決まってないのに、ねぇ、
といりんちゃんのお母さんにふともらしたら、
S中保護者としては先輩にあたる彼女にこう言われた。
「S中のブラバンは、結構キビシイんだよ。
毎日遅くまできっちり練習はやってるし、
体力的にもしんどいと思うよ。
ブラバンとKGWの両立は、まずムリだと思うなぁ。」
やっぱり、ブラバンも体育会系らしかった。
どうする、K。
とりあえず、そのことは
あと2年経ってKが中学生になるまで
本人には黙っておこう(苦笑)。
・・・・じゃなくて、Yだよ
問題なのは。
2006/5/4(木) Step5: INC
INC という新しい女子クラブ・チームの話を持ってきたのは
はんちゃんのお母さんだ。
彼女の職場の同僚に、
ある小学生クラブ・チームに息子さんを通わせている人がいて、
そのクラブがこの春からU-15女子チームを立ち上げる、
という情報をはんちゃんのために紹介してくれたのだ。
自分はAZMの練習があって、付き添うことができなかったのだが
春休みのある土曜日に、
はんちゃんとお母さんに連れられて、Yも体験練習に行ってきた。
ちょうど桜のきれいな頃のことだ。
INCのほうが、ちょっぴりKGWよりも練習会場が近い。
自転車で15-20分といったところだ。
指導者も、経歴を聞くと
もともと都内の某一般女子チームでコーチをやってきた方だったりして
U-15の女の子たちの扱いには慣れているようだ。
中学生の人数が揃ったら、中学生リーグに参入することも
当然、念頭に置いているらしい。
いや、もっと言うと
国内の女子トップ・リーグにある某クラブの下部組織、
という位置づけだったりする。
INCに入ったら、先々プロになれる! なーんていう
ナマやさしい話ではないのは想像に難くないが(苦笑)
下部組織としてのメリットはなにかしらあるのかもしれない。
職場の同僚のお誘いでもあり、
はんちゃんのお母さんはかなりINCに心が傾いているようだった。
その一方で、どうして自分は
このお話にあまり乗り気になれないのだろうか。
多分、その理由はいくつかあるんだと思う。
が、その中で、ある一つの理由に思い当たった時には
自分でも気が抜けてしまった。
そのトップ・リーグのチームは東京のチームではないのだ。
(当たり前か。)
FC東京のフロントの人をつかまえては
1年に何回かは「女子はやらないんですか?」と詰問し続けている自分としては、
東京ガス女子チームを復活してほしいし
(でも、きっと入れないんだろうけど(苦笑))、
同じ東京ベースでないのなら、
まだ電力つながりでマリーゼの方が親近感を覚えたりする。
いくら数年住んでいたことがあるから、といって
自分が今、ヴィッセル神戸を応援する気持ちにはなれないのと
あまり違いはないのだ。
どっちみち受からなかったが
娘がニッテレに入っちゃったら、悩むでしょ?
なんかそーいう、同好の士以外の他人には
ちょっと説明しづらいような理由で
腰が引けている自分なのだった。
本人たちは、INCの練習に参加させてもらって
とても楽しかったようだ。
他からも数名の同年齢のお嬢さんがたが来ていて、
人数の少なさにおいてはKGWと大差なかったようだったが
練習内容については、充実していたらしい。
AZMを終えて自分が練習会場に駆けつけた時には
ちょうど彼女たちも終わっていて
コーチの皆さんが後片付けをしているところだった。
あとではんちゃんのお母さんに聞いたところ、
場所が分からなくて彼女に電話をかけながらグランドを探して
自転車をキコキコこいでいる自分を、
遠目で発見した彼らのうち、一人のコーチが
「あっ、バスの人じゃないかな?」と叫んだのだそうだ。
そして、自分が近づくにつれ
「バスの人だ、バスの人だ!」と確信を持ったらしく、
実際に自分が彼らのところに到着するやいなや
「バスでお目にかかりましたよね?」と声をかけられたのだった。
確かに、そのコーチの方には
AZM小に向かう路線バスの中でお目にかかったことがあった。
「あっ、ゲロゲロちゃんのコーチの方ですね!?」
昨年12月のある週末のこと。
小学生を連れてAZM小に遠征に来てくれたそのコーチは、
だがしかし、
どのバス停で降りるかを調べてくるのを忘れていたのだった。
どこで降りたらいいのかな、とコーチが不安そうな顔をするものだから
車酔いするお子さんが、今にも限界に達してしまいそうだった。
彼らの会話を聞いていて、
AZM小に来ようとしているのが分かったので
自分も降りるバス停でその子供たちを降ろし、
ゲロゲロちゃんたちをグランドまで道案内したことがあったのだった。
「バスの人?」
「あ、ゲロゲロちゃんの!」
という、妙なご挨拶から始まってしまったINCとのお付き合い。
今後、進展はあるのだろうか。
・・・・それはまだちょっと、分からないのだ。
2006/5/5(金) Step6: 本命
セレクションを2つ受け、
地域のクラブ・チーム2つの練習に参加したこの時点で
母としての自分には、明確な本命があった。
INC がそこそこ信頼できそうなクラブ・チームであることには
なんとなく了解がいった。
KGWに一日の長はあるのだが(4部入りを決めている分)、
U-15のクラブとしてはINCに軍配が上がる日も
そう遠くはないかもしれない。
が、こうして考えてくると
そもそも自分はYを「クラブ・チーム」に入れる気がないのだ、
ということに改めて気がつく。
例えば、中学生の生活として考えてみる。
学校が終わる。
荷物をまとめて、あわてて帰宅。これだけで30分はかかる。
(S中は遠いのだ。)
制服から練習着に着替えて
エナメル・バッグをハスにかけて、自転車で出発。
電車に乗るかどうかはいざ知れず
練習会場へと急ぐ。
途中で上手に間食を取る。
で、どれだけ練習時間があるかは分からないが
とにかく練習。
でもって、練習終了。
お疲れのところ、すぐに帰って来い! と言っても
なかなか家にはたどり着けないだろう。
どうにか帰宅。
練習時間にもよるけれど、この時点でかなり時間は遅くなっているだろう。
入浴、食事、学校の宿題、翌日の支度。
・・・・もう真夜中だ。
いや、くたびれて上記のいくつかをすっ飛ばしたりもするだろう。
しかも、公立中学のスケジュールと必ずしも連動しない試合日程なんかで
コトが進んだりすると
勉強はさらに悲惨を極めるだろう。
一応、高校受験を控える身として
これはどうなんだろう。
成績のことだけではない。
学校にだって、学校行事というものがある。
合唱コンクールがあれば、
放課後居残りをして練習したりもする。
多少、帰りが遅くなっても
下校時刻というのは決まっているのだから
30分後には家に帰り着くのが読めている。
が、クラブ・チームの練習にはそれでは間に合わない。
行事のためにサッカーを休む。
サッカーのために行事に非協力的でいる。
・・・・そんな二者択一は、自分にはあり得ない。
そう、中学校を中心にした学校生活を
心ここにあらず、みたいなカンジで過ごしてほしくないのだ。
S中がそんなにステキな学校でないのはよーく知っている(苦笑)。
なんの変哲もないタダの公立校にすぎず、
中学受験で上の層は少なからず減っているにせよ
上から下までいろんな種類の子供達が一緒にやっていく中で
Yには社会を学んでもらいたいのだ。
そういう意味で、学級崩壊だろうと無気力教師だろうと、何が来ようと
それらを乗り越えてやろうじゃないか、と腹はくくっているのだ。
そしてYにも、乗り切る力を付けてほしい。
地元の公立に入れているのには、それだけの覚悟はあるつもりだ。
その発想の延長線上にあるサッカーは
ズバリ、部活だ。
クラブ・チームになびけない一番の理由はコレだった。
遡ること、去年の秋。
S中の学校説明会というのがあって、
久しぶりに母校の土を踏んだ。
学校生活を説明するプリントには、部活の紹介もあって
「サッカー部(男子)」と書かれていた。
自分のいたバスケ部なんかは
「バスケットボール部(男子・女子)」と明記されていて
そこからは明らかに
「サッカー部に女子は入れさせない」という姿勢が読み取れたのだった。
Yたちの1つ上の代にも、AZMでU-12少女サッカーをやり抜いた女の子たちが
3人いた。
そのうちの1人は、いりんちゃんの年子の姉、いゆんちゃん。
できることなら、サッカーを続けたいと思っていた彼女だったが
サッカー部はS中の部活の中で最もハードな部。
顧問の先生が、熱血漢の体育会系先生で
女子の面倒を見てくれるようなソフトなところはない。
男子部員でさえ脱落者が数多く出る。
彼のキビシイ指導に耐えられる子たちだけが残っているような部だ。
いゆん&いりんの母からは
「サッカー部に女子なんて考えられない!」
てなカンジで、全くお話しにならなかった、と聞く。
いゆんちゃんは、結局お友達に誘われて
バレーボール部に入部した。
あとの2人も、バスケットボール部に入った。
サッカー少女達にありがちな命運を、彼女たちも辿ったのだ。
S中のことでは、
Yたちの秋の公式戦を応援に来てくれたFCTのHRコーチに
愚痴ったこともあった。
彼は、S中サッカー部の顧問が着任したばかりの年に1年生で、
翌年には「俺らがヤツ(=顧問のこと)を都大会に連れて行った」と豪語するような仲。
いまだにS中サッカー部のヘルプに時折顔を出しているので
内部のことをよく知っている人、
自分から見ればS中サッカー部とのパイプ役になる人だ。
「しっかり『サッカー部(男子)』って書いてあったんです。」
と嘆いたら、HRコーチに怒られた。
「Yのお母さんがそんな弱気でどうするんです!!
そんなの、自分で変えていくんですよっ!!」
えー、変えていくって言ったってー、まだ入学もしてないのにー(苦笑)。
いや、もっと言うと
まだ入学許可のハガキさえもらってないのにー。
入ることが確定していないのに、動きようもない。
冬になって、そのハガキは来たが
実はS中に行くのはウチからだと越境になるので、
もとの校区内の中学校への入学ハガキしか来ない。
ここから越境の手続きが始まる。
まず、教育委員会に出向いてS中に変更してもらう手続きを取る。
これで変更が認めてもらえなかったら、モトもコもない。
変更理由の作文にも力がこもる(苦笑)。
2月に入ってからしばらくして、S中への入学許可が下りる。
自分が正規に動き出したのは
そのハガキが改めて来てから、
そしてYたちがセレクションにことごとく落ちてからだった。
Yたち、というのは
はんちゃん、とんちゃん、いりんちゃんとYの4人組。
FCT小からS中に進学する、
FCTとAZMの二つのチームでサッカーを続けてきた女の子たちのことだ。
この4人をS中サッカー部に入れてやってくれ、
という動きは
主にFCTの監督さんとHRコーチが水面下で進めてくれていたようだった。
怒られはしたが、HRコーチもやることはやってくれていた。
Yととんちゃんは第1子で、この春やっと中学校デビューの世帯。
ウチらは、S中のことを話には聞いても
正直なところ実態としてはよく分からない。
だから、頼みは上にS中生のいる世帯。
はんちゃんのところは、アニキがもともとサッカー部員。
怪我で退部はしているが、2つ年上の在校生なので、
はんちゃんのお母さんも顧問の先生をよーく知っていたりする。
もっと強力なのはいりんちゃんち。
いりんと入れ違いに卒業した代に兄がいて、しかも当時の
サッカー部キャプテン。
ついこの前まで二人三脚でやってきた愛弟子の妹、とあっては
ムゲにはできない(だろう)。の、はずだ。
聞けば、新2年生の部員は3人しかいないとのこと。
1年生の女子を入れてでも
とにかく部員数が足りなければ試合にもならないゾ、
というちょっと悲惨な状況にあったらしい。
そんなこんなで
顧問の先生も、女子の入部を認める方向で方針転換をしてくれた。
入学式の日に配られた学校資料には、
「サッカー部(男子・女子)」としっかり明記されていたのだ!
これで、部活サッカーができる!
晴れて舞台はS中サッカー部に移るのだ。
・・・・が、事態はそんなに簡単なモノではなかったのだった。